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”私”という名の”彼女”

 

”彼女”は私であり、”私”は彼女である。
そうかもしれないし、そうじゃないかもしれない。
 



 
2002年01月14日(月) 鬱の時期



当時の彼女の状態を思い出して『鬱度チェック』をやってみたら、
 「重症うつ病が疑われます。インターネットやってる場合ぢゃないんじゃないかい?早く病院に行きましょう。」
と、出ました。 あはははは♪ (注1)

 …笑っちゃったのには訳があります。
多分、重症鬱のヒトは、インターネットなんてやってられないと思ったからです。
”彼女”が鬱だったときには、自力で起き上がるのさえ馬鹿馬鹿しくなっていました。
というわけで、今回はの御話。

===



彼女が上京してきて一年目、実家の親から、飼っていたハムスターが死んだことを聞かされます。
それほどショックを受ける内容とも思えないのですが、大学構内の電話ボックスで、彼女はしばらく呆然としていました。

電話待ちの人がドアをノックしました。 彼女はのろのろと外へ出ました。

そこにいても仕方がないので、アパートへ帰ろうと歩き出しましたが、歩き方を忘れてしまったかのように足がもつれます。
不思議と涙は出ません。 でも、まっすぐに歩けません。 彼女は部屋へと向かいます。

交差点で、信号が青になったり赤になったりするのを何度も見ました。
誰かに声を掛けられるまで、彼女はそこにそうして立っていました。
別に道路なんて、渡っても渡らなくてもどうでも良くなっていたのです。
何故か、家に帰るのも無駄なことのように思えてきました。

『おかしいなぁ…。』

異常なだるさを感じて、彼女は通学路途中の神社でへたり込みます。
久しぶりに気が向いたので、境内の冷たい土の上に転がってみました。
(注2)
それは日陰でしたが、当時の彼女にはそれさえどうでも良くなっていました。

 …

眠るでもなく起きているでもなく、陽が翳るまで唯動かずに寝ていた彼女は、下宿の叔母さんが夕食に呼んでくれる時間を思い出し、慌てて飛び起きました。
それから走って、アパートに帰りました。
第一日目でした。

 

二日目以降は、いきなり記憶が曖昧になります。
とにかく身体が重くて、何もする気がありません。
鬱以外に、ステューデント・アパシーなども疑ってみましたが、だからと言って対策を講じようとも思いませんでした。
ただ面倒くさかったのです。

何をするにも億劫でしたが、とにかく勉強が遅れるのだけは嫌だったので、大学には毎日通っていました。
フランス語が週に7コマもあったので、一日サボったら落ちこぼれは必至です。
鬱病のヒトはピーク時より立ち直り時に自殺する率が多いことくらい、知識として持っていました。
鬱の先である将来の自分に、重い負担を掛けるのは御免でした。

身体が重すぎて、大の字に寝転がっていると、まるでそのまま床に身体がめり込んでいくようで、更にそのまま放っておくと四肢の感覚が麻痺したような気になって酔っていました。
彼女は普通に生活することが困難になりました。

だから、ウィスキーの小瓶を常に隠し持ち、気付けに一口二口やりながら、無理やり学生生活を続行することとなります。

飲まなければ起き上がれませんでした。
酔うことはありませんでしたが、当時はアルコールに依存して生きていました。
何故、誰も彼女の飲酒に気づかなかったかは、今もって謎とされています。

先輩によると、当時の彼女は険悪なオーラを全身から放ち、ヒトにぶつかっても何も言わずに立ち去るような奴だったそうですが、
そりゃ”相手が見えてなかった”んですよ! スイマセン!

”他人”がどうでも良くなっていました。
身内にだけは苦労をかけるまいと無駄なあがきをしましたが、それも最初のうちだけで、だんだん何もかもどうでもよくなってきました。
何故、これで成績が下がらなかったかは、今もって以下同文。

自由時間は全て寝て過ごしましたが、眠りが浅く、悪夢や幻覚を見るので本当に大変でした。
テレビから手が出てきて中に引きずり込まれる夢や、夢から覚めたと思ったらそれがまた夢だったという悪夢が延々とエンドレスで続きます。
そのうち夢と現実の区別が曖昧になってきて、自分が起きているのか寝ているのかさえ、どうでもいいことに思えてきました。


『 …死ぬかもしれないな。』


時折思うことはありましたが、餓死以外の死因は思いつきませんでした。(注3)
自殺という行動そのものが億劫だったのです。
”気が向いて、そのまま息が止まればラッキー” くらいに思っていました。
病気と闘う意欲なんて、これぽっちもありませんでした。


 でも、その ”頑張らない気持ち” が勝因だったとしか思えません!


彼女の鬱は、夏休みに入って実家で規則正しい生活を強いられるうち、自然と消えていきました。
実は”休養”と”行動療法”のセットが、鬱の特効薬なのかもしれません。
というわけで、彼女の鬱はこれで御終い。



   ”落ち込むこともあるけれど、私は元気です”




   まりぃ。  (c)『魔女の宅急便』



 ===脚注===

注1: 因みに、現在の”私”の結果は、
「軽症うつ病が疑われます。 一度専門家に診てもらったらいかがでしょう。」
とのことでしたよ。 何だかなぁ…。 

注2: 転んだら、もう起きない♪の項を御参照のこと。

注3: これで叔母のところに下宿してたのでなかったら、餓死の危険もありましたよね♪
 …と、さりげなく怖いことを書いて終わる。
 


 

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