2002年11月28日(木) |
嗚呼、非常勤! -この浮草稼業- |
桃理先生も気にしていらしたが、この時期の非常勤は胃が痛い。
その理由とは、手付かずでほっぽってある年賀状の束のことではなく、今期末テスト作成のことでもなく、ましてや再来年度カリキュラム改変に関わる提案書作成のことでもない! 自分の首が来年度も繋がっているかどうかについての悩みである。
某音大に出講する彼女の場合、今年の悩み度数はMAXだった。 何しろ、イタリア語科の上司が声楽の教授まで巻き込んで、彼女の罷免運動に奔走していたからだ。(理由は「個人的に仲が悪いから」。 …全く大学というところは何が起こるかわからない、アフリカのジャングルだ。 たまにスコールにも見舞われるらしいぞ。) 無論、良識を持ち合わせた学務部長と、同じイタリア語の助教授とが、理詰めで彼らを押さえ込んでくれたわけだが(全く落ち度がない非常勤講師をコマ数の改変もないのに辞めさせるのは、難しいそうな)、何か一つでもポカをやれば、彼女の平成16年度の職はない。 扶養控除廃止の法案が国会にかけられている今、専業主婦に戻るメリットは余りないわけで、なかなか頭の痛い問題である。
さて、彼女に来年度出講要請が来たのはホンの数日前。 …別にそれほど遅いというわけではないのだけれども、ある意味、非常に遅かった。 何しろ、他の非常勤全員に要請が行き渡って後1週間、教務部からは何の音沙汰もなかったのだ。
「こりゃ、来年はないな…。」
溜息交じりに彼女は思う。 どうせ一度は辞めようとした職場、別に未練はない筈だった。
だが彼女はとても辛かったのだ。 例え顔では笑っていても、例え軽口を叩いていようと、心は悲鳴を上げていた。 ”社会から締め出されるのは、寂しい! 寂しい! 寂しい!”
仕事をしている間、彼女には ”他人の役に立っている” という自負がある。 貰っている給料以上に働いている自信がある。 学生からは信頼され、その信頼に応えるべく、自己研鑽の努力も惜しまない。
しかし失職した途端、彼女の現在は瓦解する。 ぶっちゃけた話、全てがパァだ。 他人から必要とされなくなった途端、彼女には何も残らないのだ。 それはアイデンティティの確立を怠った罰なのか? はたまた自己を相対的にしか捉えることの出来ない、恣意的な存在と化した現代人特有の哀れなのか? (まるでエヴァンゲリオンの26話だ…)
日常との決別を毎年覚悟させられる不思議な職種: 非常勤講師という稼業に幸多からむことを! ただ一人、年末の福神がたに祈る。
まりぃ。
リリカル鬱日記:『まりりん32』@Pika del giorno d'altri tempi
雑文速報
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